「鐘の音」   和尚の一口話                1999年3月1日
 
        第二話  大地生きる    

        大地の高さに身をおいて、いただくという姿勢を
       
生き方の基本としてみませんか


 
 成人した人をおとなといいます、という字、大人と書いておとなと読みます。という字は人の姿を正面から見た形です、という字は人の姿を横から見たところ、ともに人の姿がそのまま字になっているそうです。  

 それでは
 小人こども という字はどんな形から字ができたのでしょうか、ちいさいという字は、大地に落ちた一粒の種が、土を持ち上げて、芽を出した姿からできているそうです。

 
人生あるいは一生の 生いきる という字は植物が地中に根をのばし、地上に芽をだして幹から枝が、葉っぱが出て、発育する姿だそうです。さらに成人のという字は、成長して草木が茂るという意味があるそうです。

 このように文字をよく見ると、人の姿、生きる姿勢というものが見えてきそうです。は大地に芽を出し、大地にき、成長して大人になる。
 または大地より生まれ成長してになり、いずれ死んで大地に帰る、これが人の一生すなはち人生です。

 だから人の生きる基本姿勢はすなはち、芽を出した元の大地の高さに身を置けということではないでしょうか、文字がそう教えています
 仏様をおがむ、礼法の基本は五体投地です、両膝両肘頭を地につけて、天地いっさいの仏様をおがむ、最高の礼法です。

 古来より人類は地面の高さに身を置き、常に畏敬の念をもって、天地の恵をいただき、感謝することを忘れなかった。
 オリンピック女子マラソンの覇者、エチオピアのロバさんがゴールインしてひざまずき、大地に口ずけをする姿を見て多くの人々が感動しました。


 
現代人は地面にひれ伏して天と地をいただく謙虚な姿勢を忘れてしまったのでしょうか。生きる姿勢を今一度見直してみませんか、生き方を変えてみませんか。
 人と人との関係、あらゆる生き物や自然あるいはいっさいのものとの接し方においても、地面の高さに身をおいて、いただくという姿勢を生き方の基本としてみませんか。

 
いつも目線は地面の高さに、モノを見る,聞く、思う、感じる、語る、すべて基本姿勢を地面の
高さにおいてみましょう。
 そうすることによって間違いのない見方考え方ができそうに思われます。あなたも、きっと新しい発見・感動に出会うことで
しょう。


     
    形見とて 何か残さん 春は花
              夏ほととぎす 秋はもみじ葉   良寛


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