2017年4月1日 第219話
             
生き方上手の(すべ)

春風に 吾が言葉の 散りぬるを 
     花の歌とや 人のながめん  道元禅師
       

心の悩み・人生相談


 なんの悩みも心配ごともありませんという人がおられたとしても、その人の考え方というか、生き方がそうさせているのであって、悩みもなければ苦しみもないという人は、たぶんいないでしょう。なんらかの心配ごとや悩みごとは生きているかぎり、だれにでもあるからです。

 愚僧がネットで「心の悩み・人生相談」のキーワードでお悩みごと相談をお受けしていますが、一番多いのが人間関係から生じることがらです。人間関係の悩みから、精神疾患になって苦しんでいます。そういうお悩みごとを聞かせていただくことが多くなりました。

 最近は経済的に困窮して他からの支援を必要とする人が増え続けています。支援にたよっている人でも、今はそうだけれど、なんとかして経済的自活をしたいと思っておられるようです。また、うつやさまざまな精神疾患に苦しんでおられる人がとても多いようです。苦しい日々をおくっているけれど、精神的自活を目指したいと願っておられるようです。

 それで、どうすれば思いが叶えられるでしょうかと「心の悩み・人生相談」で問いかけをしてこられます。
 それで、まずは、「どのように悩みや苦しみと向き合うべきか」ということについて考えてみましょうということになります。

世の中に必要とされる自分であるべきでしょう

  悩み苦しむことの多い人に、共通することがあるようです。
その一つが 他の人を気にしすぎるというタイプです。そういう人は認識を変えてみるとよい。すなわち、人というのは自分中心の生きものだから、あなたが思っているほどに他の人は、他人のことを注視していないから、できるだけ自分も他を意識しすぎないようにしましょうということです。
 
 その二つが、過去をひきずっている人です。そういう人には、一呼吸で自分の体は常に新陳代謝して新しい私になっていくのだから、頭の認識も新陳代謝して、ことさらに過ぎ去ったことを引きずらず、読んだ古新聞を処分するように、どんどん捨て去ることが肝心ですよということです。
 
 そして、笑顔を忘れた人です。笑顔になれない人には、朝の洗面の時に自分の笑顔をつくって鏡に映し、それを今日一日の顔にして、笑顔の私になりましょう。また、快眠快食快便すなわち、生活改善をすすめましょうということです。

 悩み苦しみの日々が続くと、自分とはつまらない人間だ、などと自分を卑下してしまうようです。なんのとりえもない無能なもので弱い人間であると思っている人にも、個性という素晴らしい能力があるはずです。それで、その個性を見直すべきでしょう、ということです。
 「人間」という意味は「世の中」です。だから世の中に必要とされる自分であるべきだということでしょう。
 これらを日常生活の心得とされますと、自分の生き方を変えられるでしょう。「心の悩み・人生相談」で、こういうお話をさせていただきます。

ロダン作考える人

 お悩み相談の電話をかけてこられるお方に「ロダン作考える人」をイメージできますかとおたずねしますと、ほとんどの方が知っておられて「はい、できます」とお答えになります。

 それで、あなたの姿勢はいかがですか、背中を丸めていませんか、肩肘張ってかまえていませんか、頬杖してうつむいて考え込んでいませんか。あなたの今の姿は「ロダン作考える人」そのものではありませんかと問いかけます。

 その姿を続けているとますます沈んでいきます。そして苦しさが増すばかりです。だから、「ロダン作考える人」の姿勢にならないように心がけましょうといいます。そしてそうならないための方法をお伝えすることにしています。

それは、
一、常に背筋伸ばして姿勢をよくする。
二、肩肘張らずこだわらず、かまえず、自然体で気楽にする。
三、呼吸を整える。お腹の下の方にちょっと力をいれてゆっくりと息を吐く、そういう吐くことを意識した呼吸法で、呼吸を整えましょう。
 いつでも、どこでもできるから、この三つをセットにして、一日に何度となくこれを行えば精神的におだやかになれます。

世の中というものは、なるようにしかならぬものなり

 だれもが自分が一番大切だと思っていますから、自分本位に行動しようとします。親子であっても自と他です、お互いがそうだから、必然的に人間関係がしっくりとしなくなります。それがストレスとなり、身心一如ですから、精神的に病むと身体まで病むことになるのです。悩み苦しみが深刻なものになると、挫折して立ち上がれなくなってしまいます。

 不安や悩みは、未来や過去のことを思うことから始まるようです。どうなるかわからない未来のことを心配したり、過ぎ去った過去を悔やんでもしかたのないことです。したがって、今のこの時を充実させるということでしょう。

 いずれの苦しみであっても、解消するのは自分自身ですから、人格的な能力が決め手になります。したがって人格の向上をめざすことで悩み苦しみも少なくなるでしょう。そのために向上心を鼓舞して自己の人格を高める努力を日々怠ってはならないのでしょう。
 
 心配や悩みがあっても、「世の中というものは、なるようにしかならぬものなり」と思いこんでもよいのではないか。あれこれ考えたり、心配したり、悩んだりしていても、どうにもならないことが多いから、気楽にわりきってしまえば、気持ちも楽になるかもしれません。「おもしろくない日々を、おもしろく、するは己の心なり」ということでしょう。

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