第65話   2004年6月1日     
 

      風疎竹来
 「竹のように強くなれ」強風も竹の隙間を吹き抜けると、そよ風となる
  竹笑」 強い風が吹いても、吹くままに身を順応させる  竹笑

          

 京都の郊外には竹林が多くあります、モウソウチク、ハチク、マダケ、シノダケ等さまざまです。食料のタケノコとなるモウソウチクの竹林が、やはり多いようです。ハチク、マダケ、は建築材料から日用雑貨、工芸品まで生活に欠かせない竹材ですが、近年需要が少なくなって、竹林も少しずつ減ってきた。

 モウソウチクは4月から5月にかけてタケノコが出ます。ハチクやマダケは5月中旬から6月上旬にタケノコが出ます、食するとモウソウチクとちがった味わいがあります。
 雨後のタケノコという言葉のとおり、普段は静かな竹林もこの時期は、タケノコでにぎやかです。日当たりのよいところ、あるいは肥沃な土地へ新しい根を伸ばして子孫繁栄をはかっています、庭先の思わぬところからタケノコが顔を出して、びっくりします。また道路の舗装を割って現れたり、たくましささえ感じます。

 タケノコが何本もにょきにょきと競争するように、生きよいよく伸びて、竹の皮の鎧を一枚ずつ脱ぎ捨てて伸びていくさまを目にするとき、元気をもらったような気がする、その勢いにも圧倒されます。竹は天空高く、まっすぐに直立して生え、風が吹いてもしなやかにして折れない。
 竹という植物は地下茎によって繁殖する、一雨ごとににょきりとタケノコが新しくデビューしてくる。すさまじい早さで伸びていきます、それは樹木の生長とちがって、竹は一節ごとに、それぞれ伸びていくから、タケノコは早くのびるのです。
 
 竹は地下茎をのばして繁殖します。地下茎からタケノコとして地上に出て、わずか三ヶ月で一生のからだをつくりあげてしまうそうです。
 竹は木のように毎年太ることはない、余分の栄養分は地下茎に蓄えて、タケノコの成長にまわります。そして地上に生えた竹は20年くらいで死ぬそうです。数十年の間をおいて竹に花が咲き、地上の竹が枯れてしまうことがありますが、地下茎から新しいタケノコが出て数年で新しい竹林になる。

 タケノコは地中で芽生え、タケノコとして、地上に出てくるが、地中にあるときすでにそのタケノコはどれくらいの高さに、そして太さになるのかがすでに決まっているそうです。もし人間も生まれた時にすでにその人の一生が、すなわち、命分、食分というのが決まっているとしたらどうでしょうか。
 竹林の多いところに住んでいますと、この5〜6月は竹の葉がわりの時期で、落葉の掃除に悩まされます。けれども、日々、竹を目にしていますと、竹のすばらしさが感じられる。そこで『竹徳五訓』をつくりました。

    竹徳五訓
 竹の子の如く生き生きと タケノコが早くのびるのでその勢いに圧倒されそうです
 
竹まっすぐが如く実直に  竹は真すぐに生える、まじめで素直な性格です
  竹しなるが如く柔和に  竹笑」 強い風が吹いても、吹くままに身を順応させる
 竹節の如く節度あり  竹に上下の節ありとはありのままに節度節操を守る諭しでもある
 竹根の如く繁茂せん
   竹という植物は地下茎によって、堅実に目立たぬところで繁殖する
      
 竹はタケノコとして、毎年、一時期にだけ新しい竹が生まれる。三年生の竹は残し、四年生の竹を切り、七年以上の竹を残すなという竹の管理方法を教えた言葉があります、これは適材適所が大切という意味だそうです。
 苦節10年、どんなに苦しくても10年辛抱すれば道は開ける、この節の語源は竹であると言われてます。節の熟語が多くあります、人と竹との関係が古来より多かったからでしょう。竹から学ぶことがあまりにも多いようです。

    
   
  
 草や木にも種類の区別のあることを知れ、
   しかしかれらは「われらは草である」とか、
   「われらは木である」とか言い張ることはない。
   かれらの特徴は生まれにもとづいている。
   かれらの生まれはいろいろ異なっているからである。
            (お釈迦さま・・・・スッタニパータ)
   
    

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