2015年11月1日 第202話 | |||
無情説法 |
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またはなはだ奇なり、またはなはだ奇なり、 無情説法、不思議なり。もし耳をもって聞かば終に会しがたし。 眼処に声を聞いてまさに知ることを得ん。 永平広禄 |
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微生物のおかげです 大村智・北里大特別栄誉教授は、ノーベル医学・生理学賞の受賞決定の喜びを語られた。「私の仕事は微生物の力を借りているだけ。私自身が偉いことを考えたりしたのではなく、全て微生物のやっている仕事を勉強させていただき、本日まで来た」と記者会見で話された。 感染症の研究で多くの人々の健康を守った日本の研究者が、科学界で最高の栄誉に輝いたのです。大村氏は、抗寄生虫薬「イベルメクチン」のもとになる物質を発見された。途上国の寄生虫病患者に年1、2回使用することで、失明を防ぐ薬の開発につなげた業績が、高く評価された。イベルメクチンは年間2億人以上が使っているそうです。 「人のためになることを考えなさい」と、子供のころ祖母に繰り返し教えられた。 「人のために・・・」の信念が研究の根底にあると話された。 また「人と同じ事をやってもダメ」。自身の研究についても「やったことはだいたい失敗してきた。でも、びっくりするくらいうまくいくときがある。それを味わうと何回失敗しても怖くない」と、学生らに話された。 大村氏が自然界に存在する抗生物質の探索に本格的に乗り出したのは、米国留学から帰国して北里研究所に研究室を持った1973年です。翌年、静岡県内で採取した土から新種の放線菌を発見し、菌が生み出す未知の抗生物質を見つけた。79年に学会で発表した「エバーメクチン」はその後、寄生虫が引き起こす家畜の感染症の特効薬となり、アフリカや中南米で毎年3億人を超える人々を感染症から救うことになったのです。 |
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ニュートリノに質量 スウェーデン王立科学アカデミーは、2015年のノーベル物理学賞を、東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章氏(56)とカナダ・クイーンズ大学名誉教授のアーサー・マクドナルド氏(72)の2氏に授与すると発表した。 梶田氏は物質の最小単位である素粒子の一つ、ニュートリノに重さ (質量)があるのを初めて確認した。これまでの素粒子物理学の常識を覆し、宇宙や物質が誕生した謎の解明に迫る業績が評価されたのです。 ニュートリノは物質とほとんど相互作用せず、どんなところも素通りする。50年代に発見されて以来、様々な実験によっても質量の存在が確認されず、質量ゼロと長らく考えられていた。それが覆ったのは98年。東京大学宇宙線研究所の2008年に死去した故戸塚洋二博士と梶田隆章博士(現・同研究所長)が、岐阜県の神岡鉱山の地下1000メートルにある実験施設「スーパーカミオカンデ」で、ニュートリノが質量を持つことによって起こる「ニュートリノ振動」という現象を発見したのです。 宇宙の起源に関わるもので、あらゆる物質をも突き抜けていくニュートリノの存在が認められた。人間の設けた装置によってその存在が実証されたことは、宇宙の起源の謎を探る上で重要な発見です。無から宇宙が生まれたのか、そもそも質量が存在しているのが宇宙なのか、膨張する宇宙には果てがあるのか、宇宙に始まりがあり終わりがあるのか、人間の知識や能力で、すべてを認識することは不可能かもしれません。 |
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色即是空、空即是色 霊雲志勤禅師は永年にわたる修行の末、ある日、桃の花とともに悟られた。見るものにとって桃の花は綺麗でも、桃は綺麗を自己主張して咲いているわけでもなく、ただ春風に吹かれて開花したのです。 この世の中はすべてが「空」であり、すべてが「色」です。「空」は即ち是「色」、「色」は即ち是「空」です。まさに今ここに桃(仏・真理)が花開いている。何もない「空」枝に蕾が生じ、春風に誘われて桃の花「色」は開き、花「色」はまた散り「空」に帰す。 庭掃除で掃いた石が竹にあたって音がした.。香巌智閑禅師はこの音とともに開悟された。黙々として掃き掃除をしていたら、飛んだ石が竹にあたりコチンと音がした。聞こうと思っても聞こえるものでもなく、それは静寂「空」を破る音「色」であった。今ここに音(仏・真理)が声を発した。一瞬のことで音「色」は消えて、もとの静寂「空」に帰した。 「無情」は人間のような感情や意識をもたない存在という意味です。山川草木をはじめ天地自然のすべてが仏法(真理)を説いている、これを無情説法という。宇宙にある存在がすべて仏法(真理)を常に説き続けていますが、だれもがその説法が聞こえるとは言い難い。ではどういう人がそれを聞くことができるのでしょうか。 桃が花をひらき、石が音を発した、一瞬のただそれだけのことで、疑うこともなにもありません。無情説法が聞けたらすばらしいことですが、無情説法は思量することができません。もし耳で聞いたなら、いつまでたってもわからない。眼で声を聞いて、すなはち心身を挙して聴取してはじめてわかることです。見るのではなく、見えてくるものがある、聞くのでなく、聞こえてくるものがある、それが無情説法です。 |
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峯の色 谷の響きも皆ながら 吾が釈迦牟尼の 声と姿と 道元禅師 何億年という時の流れを経て土ができた。土には生きものの生き死にの歴史があり、微生物がこれに関係している。一粒の土にも数えきれないさまざまな微生物がいて、それぞれに個性がある。ある微生物の個性を発揮させることで特定する細菌が消滅する。それは希有なことですが、微生物の個性を薬として用いることで人や家畜の命を救うことができた。微生物は人間の手でつくれないから、大村智氏は微生物を特定して、その橋渡しをされたのです。 目に見えない微生物「空」から薬「色」がうまれて病を治癒する。病が癒ると薬「色」の草冠がとれて、苦痛は消滅して楽「空」になる。 梶田氏は物質の最小単位である素粒子の一つであるニュートリノに重さ(質量)があるのを初めて確認された。人間が設けた装置「スーパーカミオカンデ」により実証された。聞こえないものを見る、見えないものを聞く、人間の思量分別や心意識のはたらきを超えたところに、宇宙の起源の謎を探る上での重要な発見があったのです。ニュートリノがあらわになったということです。 その存在が「空」であるニュートリノに質量「色」があることが確認された、あらわになったニュートリノ「色」は一瞬にして「空」に帰す。 自分の目や耳でものごとをとらえようとすると、あらゆるものを相対として受けとめてしまい、ものの本質(真実のすがた)を見失ってしまいます。したがって、思量分別の働きによらず、すなはち非思量・無分別のところにおいて、はじめて仏(真実)にふれることになる。 非思量・無分別のところを道元禅師は自己をわすれるといわれました。自己をわすれるとは、執着心を離れ、無分別の自己になることだと教えられた。 非思量・無分別のところにおいて、無情説法(仏法・真理)にふれることができる。 この世は無情説法(仏法・真理)であふれている。天地の語る声をどのように聞くのか、執着心を放れて、無分別でものごとを受けとめることで無情説法を聞くことができる。無情説法を聞いていると、悩み苦しみも解きほぐれるでしょう。日常の生活において、時には心静かに無情説法に目を耳をかたむけたいものです。 父母の出会いの因縁により無「空」から、命「色」を授かり人として生まれてきた。だが生あるもの滅ありで、命「色」は滅すると、また元の無「空」に帰す、これが人の一生です。木枯らしに吹かれて葉が舞い散る、散った葉はふたたび枝に戻ることはありません。 |
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死別、その悲しみを乗り越えて 葬儀~中陰~百箇日 新しい自分に変えていく 自分が変わらなければ前途はひらけてこない。 過去を引きずって、過去に執着すれば、今がなくなる。 未来はすぐに今になり、今はすぐに過去になる。 過去にこだわると未来が見えません。 感性と向上心を高め、 この世の真理を求め続けることに 楽しみを見いだそうとするならば、 生きている究極の喜びを感じることができるでしょう。 つらく悲しい日々の中にこそ、楽しいことを見つけましょう。 今まで気づかなかったことがあるはずです |