第76話   2005年5月1日

気楽に

本末も 皆偽りの つくもがみ
     思い乱るる 夢をこそ説け
 道元禅師
 
    
人の一生はあてにならないことが多い、煩悩に迷い苦しんでいる
     ほんとうの生き方をさとり、迷いをとくことが大切である


 
五月病

 木々の緑が鮮やかな五月は生命が躍動する時節です、生き物たちの多くが新しい命を産み育てる、活き活きとしたこの時期なのに憂鬱な季節であると思ってる人も多いようです。医学用語ではないらしいが、五月病とか六月病という言葉があります、広く知られた言葉です。

 大学に入学した学生が、受験の緊張から解放された頃です、大学生活に失望したり、入学という目標を達成し、次の目標が見つからずに混乱してしまう、5月の連休明けくらいからうつ的気分にみまわれ、無気力な状態になることから五月病といわれるようです。
 
 学生だけでなく、症状は個々に異なりますが、新入社員にもあるようで、新人研修などが終わって実際の仕事をはじめた6月頃に症状が出ることが多いため、六月病というそうです。短期間で離職してしまう人が最近多いのも五月病と似た心理状態かもしれません。そして小中学校生にも大人と変わらない症状があり、イライラ感、頭痛腹痛などの症状から不登校、ひきこもりにもつながっているようです。

 だれでも新しい環境の生活に入ると、さまざまな変化がいっぺんにおこりますから、肉体的にも精神的にもくたびれてしまう、新たな環境に適応できないことへのあせりがストレスになり、「何とかしなければ」と思えば思うほど、深みにはまってしまいます。疲れているけれどなんとなく眠れない、食欲も減退してしまう、新しい環境に、そして人々にとけこもうとするけれどもうまくいかず、自己嫌悪に陥ってしまい、そのままの状態が続くと、そのうち死んでしまいたいなどとも考えてしまいます。

憂鬱な心身の状態はだれにでもあります

 若い人の五月病や六月病のみならず現代人の悩みは深刻です、自殺者数は1997年までは2万人台前半で推移していましたが、98年に急増し3万人を超えるようになりました。特に45〜64才の中高年男子の自殺者が急増しています。

 自殺の動機では経済生活問題、雇用情勢の悪化、過労が多く、自殺率は10万人当たり、日本が24.1人(2000年)と、主要先進国の中では最も多くなっています。

 憂鬱な心身の状態はだれにでもあります、心が晴れない重苦しい気分、思考や行動が抑制されたようで無気力からぬけきれない、不安・焦燥感すなわち気持ちがいらだち落ち着かなく、何とかしなければと思うほどに落ち込んでしまう。
 こうしたうつ病の精神症状に至らないためにも、ストレスを貯めないように気をつけたいものです。

 スポーツや音楽を聴く、読書をするなど、自分に合ったストレスの解消法を見つけたり、新たな目標や関心を持つことも大切です。ストレスに克つ最良の方法は、恋をすることだと言う人もいます、わくわくどきどき感が体にいいのでしょうか。新しいものにチャレンジすることで、生活の中に刺激を与え、生活の活性化を心がけることも効果的でしょう。大声で泣く、おしゃれをする、ゆっくり風呂に入る、大いに笑う、 これらも効果があるそうです。
 
生きる姿勢を変える

 ストレスを貯めないような気分転換は必要ですが、根本的には生きる姿勢を変えることが大切でしょう、それは自己への気づきです、生かされていることに気づくべきです。父母のもとに生まれてきた生命体が自己です、生き死にをしている60兆個の細胞の集合体です、その生命体は遺伝子によって特徴づけられています。

 生命体は自分の意思にかかわらず60兆個の細胞が生き死にしています、心臓は動き肺は呼吸しています。けれども悩みや心配、恐怖や不安の気持ちが心臓や肺などの働きを刺激しますから、正常な生命体をゆがめてしまうのです、ストレスは生命体が病む原因になります。

 そこで根本的には生きる姿勢を正すことが大切です、いつも背筋を伸ばして前向き姿勢を心掛けることです、前かがみで背中を丸めた下向き姿勢では気持ちがふさがってしまいます。次に呼吸法を変えることです、寝ている時のみならず普段の生活でも無意識に呼吸していますが、時々意識して息をゆっくり吐きましょう、不思議と落ち着きがでてくるものです、ゆったりとした、安らいだ気分になれます。

 背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法を一日のうち時々意識しておこないます、いつでも、何処でも、誰にでも、できることです、これで生き方が変わります。姿勢を正し意識して吐く呼吸法によって、前向きな、いつも心新たな生き方に自分を変えていくことができます。
  
背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法はお釈迦さまの教えです

 背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法によって、脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンが増えるそうです、すると、ほかの神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン(恐れ、驚き)をコントロールし精神を安定させ、不快感が鎮まり癒される、セロトニンにはこのような作用があると言われています。

 セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなるため、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、うつ病になりやすいなどといった指摘があります。背筋のばして息をゆっくりと吐く呼吸法をとることによって、セロトニンが増えて心身が安らかになるという効果が最近わかってきました。

 
本来の自己である生命体に素直な生き方をすべきところ、私たちは自我の欲望のままに利己的な生き方をしてしまいますから、自分自身で悩み苦しんでしまうのです、悩み苦しみが解消されずに重なり蓄積していくと心身の不調をきたすことになります。はからずも心身不調になれば、自己という生命体に素直に、うまくつきあうことです、自分らしく生きる、身の丈に合わせた生き方をする、背伸びしない、この開き直りが大切です。

 背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法によって、悩み苦しみのない本来の自己である生命体にたとえ一時でもたち帰れます。生かされている生命体である自分の本性(仏性)に気づき、他に生かしてもらっているから他を生かし他とともに生きる、この生き方を心掛けることによって悩み苦しみのない生き方ができる。
 背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法はお釈迦さまの教えです、時々試してください、元気が出ます、希望がわいてきます。活き活きとして万物が躍動するこの五月、背筋のばして息をゆっくりと吐く呼吸法をとりましょう、自然の活力を体いっぱいにいただいて生気がみなぎってくることでしょう。

こだわらない ・ とらわれない ・ こころゆったり・・・禅タイム 

戻る